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ニュースレター Vol.2 刊行物・資料 | 大阪市立大学女性研究者支援室

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Academic year: 2018

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(1)

大阪市立大学     大阪教育大学     和歌山大学     積水ハウス株式会社

協定調印式が行われました!

小島 明子氏

(大阪市立大学 生活科学研究科 准教授)

「食品の機能性に関する食育教材の構築~栄養学関連分野の横断的連携~」

沼田 里衣氏

(大阪市立大学 都市研究プラザ テニュアトラック特任准教授)

「動いている音楽:障害者の社会参加に向けた即興音楽活動に関する研究」

河崎 由美子氏

(積水ハウス株式会社 総合住宅研究所 課長)

「大阪市大と積水ハウスの共同研究~これからの日本を支える多世帯居住に関する研究開発~」

平成30年2月20日(火)

科学技術人材育成費補助事業「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(牽引型)」の共同実施に関する協定書 に関する協定調印式が行われました。大阪市立大学、大阪教育大学、和歌山大学、積水ハウス株式会社は、連携 してダイバーシティ研究環境整備、女性研究者の研究力向上・リーダー育成、上位職登用促進を図るため、協定書 に署名しました。今後、いっそう相互交流や産学官連携を強化し、南近畿圏に取組を波及させます。

文部科学省科学技術人材育成費補助事業 ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(牽引型)

 第1部では、エイミー・ウェント氏(ウィスコンシン 大学マディソン校 女性科学・技術リーダーシップ機 構(WISELI)ディレクター、電気・コンピューター 工学科 教授)より、「ウィスコンシン大学マディソン校 の研究者のジェンダー平等の取り組み」についてご 講演いただきました。ウェント氏は、女性研究者の

成功のために重要なポイントとして以下の2点を挙げました。1点目は、男 性と女性は共に有能であり、女性を含んだ全メンバーが機能し、成功でき る組織・環境が重要であるということです。2点目は、無意識のバイアス の存在を個人としてまた組織として認識し、その影響を取り除くことです。無 意識のバイアスの影響を避けるためには、組織と個人の両方が意識的に行 動する必要があると述べられました。

 第2部では、まず西岡 英子氏(大阪市立大学 女性研究者支援室プロ グラムディレクター、特任准教授)より、「南近畿発:産学官連携によるダ イバーシティ推進の取り組み」について報告がありました。続いて、本学と 各連携機関に所属する女性研究者よりそれぞれ共同研究報告が行われま した。いずれの内容も大変興味深いもので、女性研究者同士の研究上の 結びつきの強化によって今後一層研究が進展し、女性研究者のキャリア アップに繋がる可能性が示されました。

 第3部のパネルディスカッションでは「女性リーダー育成と上位職登用の 仕組みづくり」というテーマで、第1部で講演されたエイミー・ウェント氏、 池上 知子氏(大阪市立大学 副学長)、岡本 幾子氏(大阪教育大学 理事 ・副学長)、呉 海元氏(和歌山大学 理事・副学長)、小谷 美樹氏(積水ハ ウス株式会社 経営企画部 ダイバーシティ推進室部長)をパネリストに迎 え、折原 真子氏(大阪市立大学 大学運営本部事務部長)の司会のもと、 意見交換が行われました。管理職の女性が増えない要因として、女性の 若手研究者が大学運営に関わる機会が少ない点を挙げ、小谷氏から参 考事例として女性対象の管理職候補者研修が紹介されました。また、女 性研究者の裾野拡大策として理系女子学生を増やすために、各大学は高 校生に向けた数々の取り組みを行っていますが、呉氏とウェント氏からは、 幼少期や中学生段階の子どもたちへのアプローチが有効であるとの意見が 出ました。

 当日は平日日中であったにも関わらず、185名もの方々が来場され、盛 会のうちに幕を閉じました。このシンポジウムを契機として、今後より一層 の女性研究者支援に取り組んでまいります。

〒558-8585 大阪市住吉区杉本3-3-138 Tel: 06-6605-3661

E-mail: ocu-support-f@ado.osaka-cu.ac.jp HP: http://www.wlb.osaka-cu.ac.jp/ 発 行 : 平成30年3月

ニュースレターに関するお問い合わせ

公立大学法人 大阪市立大学 国立大学法人 大阪教育大学 国立大学法人 和歌山大学 積水ハウス株式会社 代 表 機 関

共同実施機関

連 携 機 関

平成30年2月20日(火)、平成29年度ダイバーシティ研究環境実現

キックオフシンポジウム「南近畿からの発信:女性研究者の地平を拓く、未来を創る」を グランキューブ大阪(大阪府立国際会議場)にて開催しました。

女性研究者研究交流会

「女性の生き方を考える」

場所:梅田スカイビル タワーイースト 9階 第5会議室

30

(金)

 

積水ハウス株式会社

ダイバーシティ研究環境実現

キックオフシンポジウムを開催しました!

平成29年度

エイミー・ウェント氏

左から、積水ハウス株式会社 執行役員 総合住宅研究所 石井 正義所長、和歌山大学 瀧 寛和学長、大阪市立大学 荒川 哲男理事長、大阪教育大学 栗林 澄夫学長

連携機関長会議では、4連携機関長が集まり、事業の進捗状況 の確認や評価を行い、数値目標や行動計画の実施の課題などに ついて協議を行います。第1回連携機関長会議が2月20日に開 催され、宮野道雄・大阪市立大学女性研究者支援室長による補 助事業の取り組み状況の報告後、各連携機関長が女性研究者支 援と研究環境整備の現状と課題について意見交換を行いました。

第1回連携機関長会議を開催しました

3月14日開催の産学官連携ウィメンズイノベーションフェアに合わせて、 シーズ集を発行しました。連携機関に所属する女性研究者22名の新規性や 創造性にあふれる研究内容を紹介しています。このシーズ集は、人的交流を 促進し、新たな共同研究の創出や研究の一層の拡大を目指して作成したも のです。

女性研究者シーズ集を発行しました

 連携機関長 大阪市立大学長 荒川 哲男(議長)        大阪教育大学長 栗林 澄夫        和歌山大学長 瀧 寛和

(2)

和歌山大学観光学部棟T-101にて、いろんな「困った」を考える、を テーマに様々な事例紹介に基づきディスカッションがありました。また、 参加者の「困りごと」もポストイットに書いていただき、全体で共有しま した。教職員27名、学生4名(本学3名、他大学1名)、一般(卒業生、高 校生、県内企業の方等)7名の計38名の方がご参加いただきました。 実情がよく理解できた、

今まで知らなかったこと がたくさんあった、とて も理 解 が 深まった 等 、 様々な声もいただきま した。

和歌山大学観光学部棟T-101にて、クイーンズ大学のLisa Ruhanen 先生、UNWTO Themis FoundationのEdith Szivas先生をお招き し、国際的な観点から、観光学分野における女性研究者のキャリア形成 に関して、自身の経験に基づく実践的な問題提起をしていただきまし た。セミナー後半では本学大学院生の岡田美奈子氏による日本の状況 に関する話題提供があり、これら

を踏まえて女性研究者の置かれ た現状の評価や今後の課題につ いて、セミナーに参加した女性院 生や教員も交えた活発な意見交 換が行われました。

大阪市立大学杉本キャンパス学生サポートセンター2F会議室1にてセミ ナーを開催しました。1日目は、効果的な始め方、本論の構成と展開、印象的な まとめ方、また2日目は、質疑応答で活用できる表現を中心に、より高度なスキ ルの演習が行われました。講師のフィリップ・プール氏(サイマル・インターナ ショナル)は、時にはユーモアを交えて、練習と実践の重要性を強調し、参加者 は熱心に聞き入っていました。単元を終えるごとに学んだことを反映してプレ ゼンを行うという非常に実践的な

内容のセミナーで、2日目の最後に は、完成度の高いプレゼンテーショ ンが参加者によって披露され、充実 した2日間を終えました。

大阪市立大学杉本キャンパス工学G棟2階G201教室にて、ウィスコンシン大学マディソン校よりエイミー・ ウェント氏(ウィスコンシン大学マディソン校 女性科学・技術リーダーシップ機構(WISELI)ディレクター、電 気・コンピューター工学科 教授)を招き、セミナーを開催しました。第1部の講演では、インポスターシンドロー ム(自分の能力や実績を認められない傾向のこと)等「理工系女子が抱える課題」が語られ、女性同士のネッ トワーク作りや、メンター制度等を活用することの重要性が強調されました。また、第2部のディスカッション では、親は「子どもと一緒に、工学の楽しさを知る活動に参加することが必要」との話や、理科の教師は「生徒 をエンカレッジし、工学は社会に役立つことを伝えていって欲しい」とのアドバイスがあり、女子学生のロール モデルとして活躍するウェント先生の、工学に対する熱い想いが伝わってくる1時間半となりました。

イノベーションストリームKANSAI 2018では2日間にわたり、ポ スター展示および報告を行いました。ポスター展示や報告では今回 の補助事業の取り組みや、女性研究者を代表とする「連携型共同研 究」の成果を発表しました。イノベーションストリームのなかで女性 研究者を中心とした展示は大阪市立大学のみで、多数の来場者の注 目を集めました。「骨密度

測定体験会」などの体験 コーナーも好評でした。

大阪市立大学杉本キャンパス学術情報総合センター6階セミナールームにて研 修を開催しました。まず、4つのカラー(赤・黄・緑・青)で参加者の人格がビジュ アル的に示されました。そして、自分のカラーを知るだけでなく、他者のカラーを 知り、相手のカラーにあったコミュニケーションスタイルをとることが重要なこと が強調され、具体的な練習が行われました。ファシリテーターとして多くの研修を 手がける講師のエリザベス・ハンドーヴァー氏(ルミナラーニングジャパン)が、 穏やかな口調の中にも力強く「自分に自信をもち、行動に移すこと」の重要性を 参加者に伝え、皆がそれに応えて

熱心に研修に取り組みました。参 加者は皆、今後、国際的で多様性 に満ちた場でも互いを尊重しつ つ、自分らしいリーダーシップを 発揮されることが期待されます。

大阪教育大学柏原キャンパス共通講義棟A-310教室にて、保育サポーター養成セミナーの一環として、一般社団法 人日本LGBT 協会代表理事の清水展人氏を講師としてお招きし、講演会を開催しました。当事者に一人で悩ませない 社会、カミングアウトや相談のしやすい環境づくりのため、まずはその存在と多様性を知ることが大切との認識を共有 できました。質疑応答では、様々な質問があり、講演終了後も個別で話を聞きに来る学生がいるなど、今回のテーマに ついて理解を深める良いきっかけになりました。

社会福祉法人南河学園附属国分保育園にて、保育の基本的な 知識を学び、実践的な学習を行う研修を実施いたしました。事前 に保育サポーターに登録した大阪教育大学の学生が、各日10名 計20名が参加しました。子どもに接するにあたっての注意点等の 講義を受けた後、0歳児から5歳児の各保育室に分かれて入り、給 食の時間も含めて保育士等スタッフより実地指導を受けました。 今回の実地での学びは、実際にサポーターとして活動する場合の 対応等について理解を深める良い機会となりました。

大阪教育大学柏原キャンパス共通講義棟A-310教室にて、保 育サポーター養成セミナーの一環として、NPO法人CPAO(しー ぱお)理事長の徳丸ゆき子氏を講師にお迎えし、講演会を開催 しました。徳丸氏より、活動の背景にある深刻な貧困の状況に ついて、現場での切実で具体的なお話をいただきました。参加 者からは、子育ての社会化という考え方に共鳴し、自分もできる ことから支援をしたいとの声が多数寄せられました。

「国際リーダー育成のための英語スキルアップ・プログラム」を開催しました!

「エイミー・ウェント先生の“工学”女子学生のためのエンカレッジ教室」を開催しました!

「保育サポーター養成研修」を開催しました!

「ダイバーシティセミナー」を開催しました! 「ダイバーシティ研修」を開催しました!

「管理職研修」を開催しました!

この講演会は、育児中の女性研究者を支援するため「保育サポーター」を養成することを目的として企画されたものです。

「イノベーションストリーム

 KANSAI 2018」に出展しました!

大阪市立大学

大阪教育大学

和歌山大学

活動報告

平成30年

3

7

日(水) 平成30年

2

22

日(木)・

23

日(金)

4

「英語プレゼンテーションセミナー」

「イノベーション創造の新しい形

  ~女性研究者が切り拓く未来~」

平成30年

2

26

日(月)・

27

日(火)

Diversity Seminar:Empowering Female Academics: Research, Education & Career Development

観光学分野における女性研究者の

エンパワメント:研究、教育、キャリア開発

講演会「性別違和を乗り越えて ~側にいる性的マイノリティ~」

講師:清水 展人氏(一般社団法人日本LGBT協会 代表理事)

5

1

「女性研究者のためのリーダーシップ研修

 ~強みを活かしたコミュニケーションでリードしていく~」

大阪産業創造館3F マーケットプラザにおいて、「平成29年度産学官連携ウィメンズ イノベーションフェア」を開催しました。基調講演として、宮浦千里先生(東京農工大学 副学長、東京農工大学女性未来育成機構長)に「理系女性研究者のネットワーク拡大 ~東京農工大学での取組~」をテーマにご

講演いただきました。パネル展示・交流で は、連携機関の女性研究者22名、企業・ NPO法人9社が、最新の研究テーマおよび 成果を発表しました。研究者と企業が交流 し合うことで広がる新たな可能性をお互い に発見できた貴重な機会となりました。

「産学官連携ウィメンズ

 イノベーションフェア」を開催しました!

大阪教育大学柏原キャンパス共通講義棟A-307教室にて、管理職を対象とした女性研究者の積極登用、管理職育成を 目的とした研修を開催しました。日本大学薬学部薬学研究所上席研究員の大坪久子氏を講師にお招きし、「Beyond the Bias and Barriers 無意識のバイアス-Unconscious Bias-と女性活躍推進」と題してご講演いただきました。今回 の研修会は、誰もが持っているバイアスを意識化し対策を施すことの重要性について学びを得る良い機会となりました。

平成30年

2

21

日(水)

「みんなのいろんな「困った」を考える

~多様なライフキャリアを事例に~」

平成30年

2

19

日(月)

平成30年

3

14

日(水)

講演会「子どもの貧困 ~子どものSOSにどう応えるか?~」

保育サポーター養成研修

講師:徳丸 ゆき子氏(NPO法人 CPAO理事長)

3

回 第

2

平成30年

2

14

日(水)

徳丸ゆき子氏 清水展人氏

平成30年

2

28

日(水) 平成30年

2

20

日(火)・

21

日(水)

平成30年

2

6

日(火)

平成30年

2

16

日(金)

※3月15日(木)・16日(金)に  大阪教育大学でも同セミナーを開催

(3)

3 4

今回、大阪市立大学・大阪教育大学・和歌山大学・積水ハウス株式会社から、   それぞれ1名ずつ、ワーク・ライフバランスについてインタビューを行いました。

生活環境も研究も新しく始まった時に妊娠・出産

博士後期課程の1年目に結婚。私が研究に必死な時期でしたが、夫の 理解もあって家事は協力しながら行っていました。博士後期課程2年目に、 夫が名古屋へ転勤することになり、私が博士号を取得するまで夫は単身 赴任に。私は博士後期課程を修了後、「名古屋大学の助教をやらないか」 と紹介していただき、今まで研究してきた触媒化学とは違う分野でしたが 「研究を続けたい」と1996年の6月に名古屋大学の助教に着任しました。 名古屋大学では生活環境も研究も一変。ゼロからのスタートで学生と 一緒に試行錯誤の繰り返しでした。そんな時に妊娠していることが解り、 教授やスタッフに伝えたところ、教授から学生にも協力してくれるよう伝え てくださいました。放射線を使う実験は教授やスタッフが替わってくださり、 長時間立つことになる学生実験の補助も周りの研究者の先生方が受け 持ってくださるなど、あたたかくサポートしていただき、感謝の気持ちでいっ ぱいでした。できる限り迷惑を掛けたくなかったですし、自分自身も研究 を始めたばかりで早く戻りたかったので、出産後8週間で復帰しました。

復帰後に預ける保育所は確保していたのですが、子どもの体が弱く保 育所に預けることができず、滋賀県に住む家族や親族に名古屋まで来て もらって子どもを見てもらうことになりました。研究職の時間管理は自分 たちに任されているので、授業や研究の合間に授乳のために自宅へ戻り、 終わったら大学へ戻るなど、

柔軟性のある働き方ができま した。また、教授が「どうし ようもない時は研究室に子ど もを連れてきていいですよ」と 私が授業や研究中に子どもを 見てくださったり、周りのサ ポートのお陰で子育てができ たと思っています。

自分の研究を進める一方で、2014年の夏頃、文科省の新学術領域 人工光合成研究会で連携研究者として会議に出席しました。その時の 親睦会で天尾豊教授が「大阪市立大学の複合先端研究機構で人工光合 成研究に関する教授公募があるので、皆さん応募を宜しくお願いします」 と参加者へアナウンスがありました。思い切って応募したところ、メンバー に選出されて2015年より大阪市立大学へ着任。名古屋大学では親身に サポートしていただいていたので離れがたい思いもありましたが、これか らも研究を続けることで恩返しができればと思っています。現在は家族と 過ごす時間が増え、研究とは違う時間も楽しんでいます。

大阪市立大学

人工光合成研究センター副所長  複合先端研究機構 教授

吉田 朋子

さん

よしだ ともこ

家 族と周りのサポートで

子 育てと研 究を両 立

1966年生まれ。京都大学大学院工学研究科で触媒化学や放射光分光 学を研究。在学中に結婚し、博士後期課程修了後、1996年に名古屋大 学エコトピア科学研究所へ着任し、原子力工学の研究と育児を両立。 2015年大阪市立大学の複合先端研究機構と人工光合成研究センター で人工光合成を実現する固体光触媒の設計開発を進める。

大阪教育大学

教育学部 教員養成課程 国語教育講座 教授

成實 朋子

さん

なるみ ともこ

介 護と研 究を両 立するため

支 援員派 遣 制 度を利用

1967年生まれ。大阪教育大学大学院にて教育学修士取得後、大阪国 際交流センターの外国人相談員や非常勤講師として働きながら1998年 に結婚。2002年に大阪教育大学に着任。2017年より研究支援員派遣 制度を利用し、介護と両立して中国と日本の児童文学について研究に取 り組む。

同じ大学でも、分野や研究室の建物が違うと女性研究者同士が知り合う機会は少ないと思います。それに自分が研究や子育て等で忙しいと、 相手もきっとそうだろうと思い、声を掛けることに躊躇するのではないでしょうか。私は名古屋大学時代に男女共同参画室委員として参加し ていたのですが、女性研究者同士が月に1~2回集まり、働きやすい制度作りについて話をするうちに、同じような悩みを共有する友人とな りました。大学の男女共同参画等の活動に参加すると、違う分野の女性研究者との交流で、心強い味方ができると思います。

Message for Female Researchers

女 性 研 究 者 同 士のつながりを作ると心 強い味 方に

家族との時間を優先して新しい研究の場へ

母の介護を終えて看取った後に、自分が乳がんに

 結婚は30才の頃。夫が高校の教員だったこともあり、私が研究するこ とに理解があってありがたかったです。女性研究者の結婚は配偶者の理 解が必要だと思います。私は料理や家事は好きな方なので、夫に分担し てもらうことはありませんでしたが、つい抱え込みがちになり、やり過ぎて しまって反省するところもあります。

 2010年頃、母に介護が必要になり、父が介護をしていましたが、私 も平日は仕事が終わったら実家へ帰って母の話を聞いたり、お風呂やトイ レなどの介護をしたりして、土日は自宅へ戻るという生活をしていました。 5年ほど介護を続けて、3年前に亡くなったのですが、翌年の2016年に 私が乳がんになってしまいました。検査後すぐに手術の日にちを決めない といけないなど戸惑うことも多かったです。入院、手術で3カ月ほど休み を取りました。退院後も治療は継続して行っています。退院後、同じ研 究科の先生方が大人数の授業や学校訪問などの校務系の仕事を変わって くださるなど、どの先生も快くサポートしていただけて感謝の気持ちでいっ

ぱいでした。乳がんを患いましたが、私が研究や学会発表を続けられた のは、周りのサポートと大学院で教わった松山雅子先生の存在が大きかっ たです。松山先生はご自身がどん

なに大変な状況であっても研究を 大切にされていて、「全国発表は毎 年必ず行うと決めている」と懸命 に研究されている姿を横で見てい て、何があっても研究は続けない といけないと思いました。

20代のキャリア形成という点では、さまざまな局面で戦いながら研究していかないといけないですが、腐らずやっていたら、どこかでうまく いくタイミングは訪れます。チャンスは必ずきっとくるので、それまで焦らずに挑んでいてほしいですね。女性の40代は子育て、介護、自分 の心身の変化など、いろいろ大変なことが一度にやってくる気がします。昨年の私は周りの人からみたら大変な状態だったかもしれませんが、 なんとかやってこられたのは、楽天的な性格だったからかなと思います。完璧を目指しすぎず「なんとかなる」と思って乗り越えてほしいですね。 Message for Female Researchers

大 変なことも楽 天 的に乗り越えて

私自身が病気で弱っている時に、父にも介護が必要になり、平日は実 家で介護、週末は自宅へ戻る生活を再開するのは大変でした。そんな時、 女性研究者支援担当の先生から研究支援員制度を教わりました。

今までみたいに、しゃにむにやるだけでは無理と痛感したので、研究 支援員派遣を利用し中国語圏の方で日本語ができる方に、大量にある 資料の整理作業をしてもらうことにしました。その後、中国の研究者か らの依頼で児童文学事典を改訂するため、日本語関係の項目すべてを 担当することに。私が話した内容を翻訳したり、私が翻訳した内容を チェックすることができる留学生を派遣してもらいました。大阪教育大学 で美術の絵本研究をしている院生なのですが、授業では学べない日本児 童文学を実践的に学ぶことができるので研究にも役立つようです。

研究者が乳がんなどの病気になった場合も、支援員派遣制度の対象 にしていただけると利用する方が増えるのではと感じています。

(4)

5 6

貴重なお話を聞かせていただき、本当にありがとうございました!

キャリアカウンセラーとしての仕事が

形になってきた頃に妊娠・出産

子どもの頃から、専業主婦の母だけが子育てや介護でキャリアを分断 していることについて疑問に思っていました。母は不満に思っていなかっ たようですが、私は「生涯働ける仕事に就きたい」と考えるように。

人材コンサルティング会社に就職し、キャリアカウンセラーの資格取 得を目指して勉強中に、和歌山大学の当時の経済学部長から「2004年 の国立大学法人化を機に、学部の出口支援を強化するためにまずは5年 間手伝ってくれないか」と声を掛けていただいて。自分のフィールドを広 げられるチャンスだと思い、2004年から和歌山大学経済学部の助手と して着任。教員2名で「キャリア・デザイン」という科目を開講し、キャリ アカウンセラーとして学生のキャリア

相談も始めました。2年目の2005 年は教 育 学 部の先 生と全 学 的な キャリア教育科目を開講。その時に 先生から論文を執筆することの重要 さを教えていただき、少しずつ共著 で論文を書くようになりました。

 仕事が少しずつ形になっていく中で妊娠が判って。もともと私は結婚す る前から子どもを産まない選択も考えており、パートナーも考えを理解し てくれていました。しかし、親族の流産や不妊治療の話を聞くうちに「仕 事が楽しいからという理由で、産まないことが本当にいいのか」との思い に至り、産むことを決意。育休中の代替教員については、キャリアカウン セラー同士の研究会で出会った仲間から信頼できる方にお願いしました。 出産後、いよいよ復帰が間近になってきた頃に第二子の妊娠が判りまし た。2年間休むと当初の約束だった5年の区切りがきてしまうので私が少

しでも早く復帰できるようにと、パートナーが半年間育休を取得しました。 今も家事・育児を分担し協力し合えています。

和歌山大学

経済学部 経済学研究科 キャリア教育担当 助教  キャリアコンサルタント(国家資格)

CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)

本庄 麻美子

さん

ほんじょう ま み こ

男女 関 係なく生 涯 働ける

フィールドを目指して

1975年生まれ。和歌山大学経済学部卒業後、人材コンサルティング会 社で新卒採用戦略のコンサルティングや就職ガイダンスの講師などを行 う。2004年CDA資格を取得。和歌山大学経済学部の助手、キャリアカ ウンセラーとして着任。実践的なキャリア研究や学生のキャリア相談対 応、講演活動にも取り組む。

積水ハウス株式会社

経営企画部 ダイバーシティ推進室 部長  一級建築士 

小谷 美樹

さん

こたに み き

子どもの成 長とともに

キャリアもステップアップ

1966年生まれ。1988年大阪市立大学生活科学部住居学科を卒業後、積水 ハウスへ技術総合職として入社。住宅設計や内装、省エネ開発などを担当。結 婚・出産後も本社技術本部に勤務。開発部課長や女性設計長を経て、2014 年経営企画室ダイバーシティ推進室部長へ。2017年大阪商工会議所が企業 の業績向上や文化活動に貢献した女性管理職やリーダーに授与される「大阪 サクヤヒメ表彰」最上位の「大阪サクヤヒメ大賞」受賞。

大学教員はそれぞれの専門分野で研究しているため、同じ組織内で子育てや介護等プライベートな部分を話す機会に恵まれないかもしれま せん。私の場合、職員の先輩ママさんがお会いする度に私が子育てで大変なことを気に掛けて声を掛けてくださり、思い切ってランチをお 誘いしたことをキッカケに色々とアドバイスをいただいたり、励ましていただけるようになりました。もし困っていることがあれば、少しずつ自 己開示していく勇気も必要なのかなと思います。共有することで周りも気付けたり、何か手伝えることがあるのではと思っています。 Message for Female Researchers

困ったことがあれば発 信する勇 気も必 要

社会人大学院で学び新たな研究テーマに取り組む

仕事が楽しすぎて子どもを産むか迷ったけれど

私は父が総合建設会社の橋梁技術者で、母がアパレルのデザイナーと して働いている姿を見ていたので、子どもの頃から「一生働ける仕事がし たい」という思いがありました。両親の影響もあり、大学は建築や住居に ついて学べる大阪市立大学 生活科学部 住居学科へ進学。卒業後は積水 ハウスへ技術の総合職として入社しました。ちょうど入社する2年前に男 女雇用機会均等法が施行されたばかりだったので、社会的に女性が活躍 する機運が高まっている時でした。入社4年目で目標だった一級建築士の 合格も達成でき、資格取得を応援・サポートしてくれた上司にも顔向けで きたと思います。一級建築士を取得後は、お客様からの信頼も大きくなり、 やりがいも大きくなりました。

入社5年目の27才の時に同じ部署の社員と結婚。仕事が楽しすぎて、 子どもを産むかどうか踏み切れないでいましたが、自分たちの家を建て、 住んでみるとふたりでは広すぎて、家族がもう1人欲しいと感じ、子どもを 産むことに。妊娠中からどういう観点で子育てをしたらいいのか考えるた め、図書館の育児書を片っ端からすべて読んだのですが、1人で子育てを 抱え込まず、必要であれ

ばサポートを受けることが 大事ということが見えてき ました。実家の近くに家 を建てていたので、両親 にサポートしてもらえまし たし、ベビーシッターや家 事のアウトソーシングも利 用しながら、仕事と両立 していきました。

リーダー、管理職として仕事をするようになり、より自分の意見を発 信することが大事だと感じるようになりました。課長時代には関西生産 性本部主催の技術イノベーション

スクールに参加しました。グルー プワークで仮説を立てて検証、証 明するプロセスは、技術職の業務 に携わる上で非常に役立ちまし た。プライベート面でもPTAや子 ども会でリーダーシップをとりなが ら、みんなをまとめられるように なっていました。

30代から40代は仕事や子育ての両立時期で自分も子どもも成長するために大変です。しかし、子どもが成長すると、自分も様々なスキル がついており、しかも自分の時間が多く持てるようになります。そこで重要なのは、その時間で次に何をするかです。私は仕事に加え、大阪 府建築士会の委員会活動で建築関係、大学や大阪サクヤヒメ表彰などを通して女性の活躍の活動を行い、仕事で得た知識やスキルを社会 に役立てたいと思っています。研究職の方の新しい物を生み出していく思考回路は、一生役に立つと思います。女性の視点をイノベーション に活かし、新しい切り口を設定し、切り込んで行って欲しいと思います。

Message for Female Researchers

女 性の視 点をイノベーションに活かしてほしい

2014年に経営企画部ダイバーシティ推進室の設置に伴い異動し、女 性管理職の登用や仕事と育児の両立をサポートする制度の作成、働き方 改革など多様な人材の活躍を推進する仕事に取り組むことになりました。 育児中のフルタイム勤務時に保育費用の約50~70%を会社が負担す る「スマートすくすくえいど」という制度を作りました。働き盛りの20代 ~30代の女性社員にフルタイムで勤務していただくためにも、保育費用 の負担が少ないように援助しています。また、1年以内に復帰する社員 の復職時に日曜を含む保育園探しを支援する「保活コンシェルジュ」や、 夫婦交代で保育と出勤を分担する「パートナーシップスライド」など、男 女ともに仕事と育児の両立支援を拡充しています。

ダイバーシティ推進は、社員一人ひとり人生そのものを充実させるた めに新しい制度を作り、社員の皆さんが活躍できるようにしていくのです が、今まで技術職でしてきた開発と同じやりがいを感じています。

開発とダイバーシティ推進は共通のやりがいがある

復帰して半年後5年の約束を果たしましたが、そのまま同じポジション を任せてもらうことになりました。年子の幼い子どもを抱えての業務はハー ドでしたが、保育園の先生方の協力、ファミリーサポート制度も活用しな がら、パートナーと二人三脚で子育てをしました。

参照

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